PL法(製造物責任法)
難しくなる飲食業の立場


PL法(製造物責任法)とは・・・
製造物責任法(PL法)は製品の欠陥によって、人の生命・身体・財産に被害を受けた場合、製品を製造または加工したメーカーなどに損害賠償を求めることができるという法律
PLとは、roduct(製造物)、iability(責任)の略で1995年(平成7年)7月施行された。PL法施行前の民法第709条では、「損害」と「過失」の因果関係を被害者(消費者)が立証しなければならなかった(過失責任)が、PL法では「損害」と「欠陥」の因果関係を被害者(消費者)が立証すれば、メーカー側の責任が問われる(欠陥責任)。
PL法の対象となる製品は、テレビなどの電化製品、コーヒーカップなどの生活用品、自動車、加工食品などの動産とされ、不動産や加工していない農林水産物、エステやクリーニングなどのサービスは対象外となる。
つまりPL法は消費者とメーカーの関係に適用され、小売業はその中間に存在する。
さらに、飲食業は製造と販売を行う微妙な境界域にある。


生鮮食料品そのものはPL法でいう製造物ではない
しかし、それに少しでも加工の手を加えてしまうと、それは製造物である。
飲食業はサービス業と呼ばれるが、PL法から言えば製造業(メーカー)そのものとなる。従ってその製造物に欠陥があれば、当然、PL法が適用され、損害賠償の責任を問われる事になる。飲食業は客の生命、身体財産に「製品の欠陥」によって、損害を与えた場合は、民法によって責任を問われる。PL法施行によって、お客の権利意識が高まりつつある。
クレームの発生が多くなる事が予想される。

加工・未加工の判断は個別具体的
諸々の事情を総合的考慮して社会的通念に照らして,裁判所が最終的判定する事になる。

加工 未加工
味付け(調味、塩づけ、ジャム、燻製) 漁場、産地の採りたて、もぎたて状態で食することを言う
単なる切断、冷凍冷蔵、乾燥
ゆでガニ、焼ガニ、カニすき、酢がき、カイフライ、すし(うに)、おどりのすし、桜海老のかきあげ、かつおのたたき、タイ風、中華刺身、刺身もりあわせ 活カニ、生がき、ほや、うに、生魚のまま、生海老(桜海老)、生しらす、どろめ、なまこ、ちりめんじゃこ、刺身さく状態、まぐろぶつ、まぐろ中落
御飯、おむすび、おすし 干飯(ほしい)
ゆで卵、ピータン、ヨード卵、温泉卵 生卵
冷奴、納豆、豆乳、ザル豆腐、湯豆腐、あげ出し豆腐、おから、豆腐 乾燥豆、もどし豆
加工したジュース、フレッシュジュース、ミルクセーキ、レモネード フルーツ、みかん、メロン、西瓜、ネーブル,びわ、ブドウ、もも、バナナ
カットワカメ、ふえるワカメ、焼きのり、味付けのり、調理のり 生若布、もどし若布、海苔,青海苔,岩海苔,芽かぶ
貝刺身すし、焼ハマグリ、煮貝(あわび)、貝汁(かいじる) 貝柱(生・乾)、水貝(あわび)
トマトサラダ、野菜ミックスサラダ、大根おろし、ゴーヤチャンプル、とろろ汁、白菜,キャベツ巻き、焼きとうもろこし、コーン缶詰,葱やき、塩ピーナッツ、揚ピーナッツ、焼玉葱 ミニトマト,レタス,チコリ、クレソン、サラダ用ホーレン草、人参、大根、ピーマン、ゴーヤ、トンブリ、山芋、白菜、かぶ、胡瓜、カイワレ菜、とうもろこし、キャベツ、玉葱、くるみ、ピーナッツ、乾ピーナッツ、生葱、エノキ茸、マッシュルーム
焼松茸、どびん蒸し、筍御飯、筍製品、うどの味噌あえ、焼銀杏、焼栗、栗おこわ 松茸、筍、うど、栗
レバ刺、カルビ、ソーセージ、ハム、すっぽん鍋、すっぽんの血ワイン、すっぽん血 生レバー、生肉、生鳥、きも
ミネラルウォーター(加熱)、ドリンク類(アルコール)、ソフトドリンク、お茶 水道水、井戸水、ミネラルウオーター(非加熱)
ミルク、レモン入り水(イオン水)

拡大損害とは
不快感、嫌悪感にとどまらず 身体に被害が生じること
PL法によって損害賠償を求めることができるのは、『拡大損害』を受けた場合である。拡大損害とは、製品の欠陥によって人の生命、身体、またはその製品以外の財産に被害が発生した場合を言う。
ご飯に石が入っていて、歯が欠けた。 拡大損害にあたる。
鯵、鯖寿司による胃腸障害 [経過]胃痛のため医者にかかった。「アニサキス症」と診断され、内視鏡検査を行なった結果、アニサキス虫体を認めた。摘除し、その後通院により完治した。
[原因]アニサキス虫は半透明白色の線虫。サバ、アジ、ニシン、サンマ、イワシ、サケ、マス、ヒラメ、タラ、スルメイカ、アンコウなどに幼虫が発生しやすい。通常はそのまま排出されるが 稀に人の胃や腸壁に侵入し、胃痛、腹痛、嘔吐などの症状を促す。通常用いる程度の塩、酢ではアニサキスは死なず障害を起こす。
チョコレートのカビ カビの発生原因不明。下痢、嘔吐など身体的被害なしということで、拡大損害にあたらず。
セーターの表面に引火。
火傷はしないがショック。
身体に被害は発生していないなら、拡大損害にあたらず。引火の危険が予知できる場合はは、警告表示が必要。
ワゴンサービスによるステーキ提供。
炭火がはじけとんだ。火傷。
演出的調理サービスは拡大損害の危険度が高い。入念なテストが必要と思われる。

製造物責任の有無
異物混入した場合でも、直前に発見したり、仮に口に入れてしまっても、すぐ吐き出した場合、必ずしも直ちに身体に被害が生じるわけではない。拡大損害が発生していないと考えられる場合は製造物責任があるとは考えにくい。不快感があることは否定できないが、賠償請求権は生じないと考えられる。しかし、食品衛生上の問題があることが多い。

警告、POPの見やすい表示・助言の責務あり
『熱い!』 『フタをとるナ!』 『コンロの上に顔を出さないで!』 『ストップ、カートにのるナ!』

「お熱いですから、お気をつけ下さい。」(グラタン、あんかけ豆腐、茶碗蒸、汁物)

舌の火傷はお客様の自己責任だが・・・
○「大変!すぐ冷やして!」 冷水、ぬるま湯、氷を提供
×「だから 熱いと言ったのに。」


―PL法取材  農林水産省 食品流通局消費経済課  (2001年3月1日取材)―